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宇都宮地方裁判所 昭和55年(行ウ)2号 判決 1989年4月20日

栃木県下都賀郡壬生町助谷一〇五七番地

甲事件原告

小貫仁義

同所同番地

乙事件原告

小貫仁

右両名訴訟代理人弁護士

田中徹歩

佐藤秀夫

右田中徹歩の訴訟復代理人弁護士

一木明

栃木県栃木市本町一七番七号

被告

栃木税務署長

渡邊清

右指定代理人

林菜つみ

畠山隆敬

藤平俊

白井成彦

檜山達雄

猿山利晴

川田茂

上武光夫

主文

一  甲・乙各事件原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

(甲事件原告)

一  被告が甲事件原告に対し昭和五二年一二月二三日付でなした昭和四九年分の所得税決定及び無申告加算税賦課決定(国税不服審判所長の昭和五四年一二月一四日付裁決により取消された部分を除く。)を取消す。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

(乙事件原告)

一  被告が乙事件原告に対し昭和五二年一二月二三日付で同原告の昭和五一年分所得税についてした更正及び過少申告加算税賦課決定(国税不服審判所長の昭和五四年一二月一四日付裁決により取消された部分を除く。)を取消す。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

(甲・乙両事件被告)

主文と同旨

第二当事者の主張

(甲事件原告の請求の原因)

一  甲事件原告(以下、原告仁義という。)は鉄骨工事業を営むものであるが、昭和四九年分の所得について確定申告をしなかったところ、被告は昭和五二年一二月二三日付で同原告に対し、所得金額を金二六三万三六二一円、納付すべき税額を金二四万六九〇〇円とする決定及び無申告加算税額を金二万四六〇〇円とする賦課決定(以下「本件課税処分(甲)」という。但し後記取消された部分を除く。)をした。

二  同原告は、右課税処分を不服として、昭和五三年二月二三日、被告に対し異議申立をしたところ、被告は、同年五月二〇日付でこれを棄却する決定をした。

そこで、同原告はさらに、同年六月一九日、国税不服審判長に対し審査請求をしたところ、同審判所長は、昭和五四年一二月一四日付で所得金額を金一九七万七〇九九円、納付すべき所得税額を金一四万八〇〇〇円、無申告加算税額を金一万四八〇〇円とする前記所得税決定及び無申告加算税賦課決定を一部取消す旨の裁決をした。

なお、右裁決書謄本は、同年一二月二八日同原告に送達された。

三  しかしながら、同原告の昭和四九年の所得金額は金四四万九九二三円程度であるから、納付すべき税額はないものであり、したがって本件課税処分は違法である。

よって、同原告は被告に対し、前記第一掲記のとおり本件課税処分の取消を求める。

(乙事件原告の請求の原因)

一  乙事件原告(以下原告仁という。)は鉄骨工事業を営むものであるが、昭和五一年分所得税について被告に対し、所得金一一四万〇〇〇〇円、納付すべき税額零とする確定申告をしたところ、被告は同原告に対し、昭和五二年一二月二三日付で所得金額を金五四一万七六八二円、納付すべき税額を金七三万一二〇〇円とする更正決定及び過少申告加算税額を金三万七一〇〇円とする賦課決定(以下「本件課税処分(乙)」という。但し後記取消された部分を除く。)をした。

二  同原告は、右課税処分を不服として、昭和五三年二月二三日、被告に対し異議申立をしたところ、被告は、同年五月二〇日付でこれを棄却する決定をした。

そこで、同原告はさらに、同年六月一九日国税不服審判所長に対し審査請求をしたところ、同審判所長は昭和五四年一二月一四日付で所得金額を二三六万九七六六円、納付すべき税額を金一五万〇八〇〇円、過少申告加算税額を金八一〇〇円とする所得税更正決定及び過少申告加算税賦課決定を一部取消す旨の裁決をした。

なお、右裁決書謄本は同年一二月二八日同原告に送達された。

三  しかしながら、原告仁の昭和五一年分の所得金額は前記一の項記載のとおりであり、納付すべき税額はないから、本件課税処分は違法である。

よって、同原告は被告に対し、前記第一掲記のとおり本件課税処分の取消を求める。

(被告の答弁と主張)

一  請求原因事実に対する認否

1 甲・乙両事件の各一、二の項は認める。

2 同各三の項は争う。

二  主張

1 本件課税処分に関する調査の経緯

(一) 原告らは、肩書住所に居住する同居の親子であるところ、原告仁義が昭和五〇年同所で営んでいた鉄骨工事業を原告仁に引き継がせた関係から、本件係争各年分においてそれぞれ同一事業を営むいわゆる白色申告者であったが、原告仁義は昭和四九年分の所得税について確定申告書を提出せず、原告仁は昭和五二年三月一四日昭和五一年分について請求の原因のとおりの確定申告書を提出した。

(二) 被告において右確定申告書等を調査した結果、<1>原告仁の事業規模は比較的大きいにもかかわらず、昭和四九年・五〇年分についての所得税の確定申告がされていないこと、<2>昭和五一年分の申告所得金額にしても同規模程度の同業者と比較して申告額が過少と認められること、<3>原告仁が昭和五一年に建物を新築していることなどから、被告は、昭和四九年分から昭和五一年分の所得税について調査の必要があると認め、被告係官石嶋常治及び同塩田光四郎にその調査を命じた。

(三) 右石嶋及び塩田の両名は、調査のため、昭和五二年八月一八日、同年九月二〇日及び同年同月二六日、原告ら方へ臨場し、原告らに説明及び資料の提出を求めたが、同年八月三一日昭和五一年分の所得税の確定申告書記載の所得金額にかかる計算資料中、支払金額内訳書(必要経費)だけが「小貫鉄工建設」名で石嶋宛に郵送されたのみで、帳簿書類及び原始記録の保存はしていないとしてそれを提示せず、また、栃木民主商工会会員と思しき者六名位を同席させて発言させ、右石嶋らにおいてその退席を求めても応じなかったり、本人が姿を見せない挙に出るなどして調査に応じなかった。

(四) そこで、被告は、これ以上原告らに対する調査を行っても原告らの所得金額を実額により算出することは不可能であると判断し、被告の調査によって判明した資料を基に原告らの所得金額を推計して本件各課税処分を行ったのである。

(五) なお、原告らが、原告らにかかる本件各課税処分を不服とし、被告に対して昭和五三年二月二三日異議申立てを各々行ったことから、被告は、被告係官坂本昭造及び柳川清一郎に異議申立ての審理を命じた。

右坂本及び柳川は、調査のため、同年四月一八日、同年同月二四日、同年五月一〇日、原告ら宅へ臨場して説明及び資料の提出を求めたが、原告らは調査に応じなかった。

(原告仁義の昭和四九年分所得税の事業所得金額)

原告仁義の昭和四九年分所得税の事業所得金額の内容は、次表、即ち別紙計算書(一)のA欄に記載のとおりである。

事業所得金額の内容表

<省略>

各項目の金額の算出根拠は次のとおりである。

1  収入金額 二二五七万八八一一円

前記本件課税処分に関する調査の経緯のとおり、原告仁義は、被告の調査に応じなかったので、所得税法一五六条に基づき事業所得金額を推計したものであるが、収入金額の算出方法は、後記(一)の収入減価を(二)の平均収入原価率で除して算出したものであり、その算式は次のとおりである。

(算式) 収入減価 平均収入原価率

9,745,015円÷43.16%=22,578,811円

(一) 収入原価(ここでは、「仕入原価」のことを便宜上「収入原価」と称する。以下同じ。)は、一般的には、期首棚卸材料在高に当年中の仕入金額を加算し、これから期末棚卸材料在高を控除することによって算出されるものであるところ、原告仁義が被告の調査に応じなかったため、期首・期末の棚卸材料在高を把握することができなかったことから、被告は、当年中の仕入金額をもって収入原価としたものであるが、被告の調査により判明した原告仁義の当年中の仕入金額は次表のとおり一〇三九万五〇一五円である。

右収入原価九七四万五〇一五円は、原告において、本件更正処分にかかる審査請求の際、自己所有の工場を建築するために右仕入れた材料のうち鉄骨六トン四五万〇〇〇〇円及びスレート三〇〇枚二〇万〇〇〇〇円を使用した旨申述したので、仕入金額一〇三九万五〇一五円から右工場建築のために使用した仕入材料分(自家消費分)合計六五万〇〇〇〇円を控除した金額である。

なお、仕入金額の内訳は次表即ち別紙収入金額内訳表(1)の被告主張の仕入金額欄のとおりであるところ、順号<3>、<5>、<6>、<8>及び<9>の仕入金額は、原告仁義が審査請求の段階において主張した金額と同額である。

<省略>

(二) 収入原価率とは、収入金額に対する収入原価の割合をいうところ、被告は、同業者の平均差益率(差益率とは、収入金額から収入原価を控除した差益金額を収入金額で除した数値である。)を基として、次のとおり収入原価率を算定した。

(算式) 平均差益率

1-0.5684=0.4316

ところで、同業者の平均差益率五六・八四パーセントは、統計学上一般に認められている方法によって算出したものであるが、同業者の抽出基準及び同業者の平均差益率の算出方法は次のとおりである。

(1) 同業者の抽出基準について

被告が本件において平均差益率を算出するために抽出した同業者は、原告らの住所地(納税地)を所轄する栃木税務署管内に事業所を有する者であって、昭和四九年中に原告らと同種の事業を営む個人事業者で、かつ次の<イ>ないし<ハ>のいずれの条件にも該当するもの(以下「同業者」という。)である。これにより抽出し得た同業者の数は一四件で、この同業者に係る収入金額及び差益金額によって求められた差益率(以下「基礎係数」という。)は、別紙昭和四九年分差益率計算表の(1)、<3>差益率欄記載のとおりであり、これを同業者の平均差益率を算出するための基礎資料とした。

<イ> 昭和四九年分について、暦年を通じて事業を継続している者で、年の中途において開廃、転業等業態に変更のない者であること

<ロ> 所得税青色申告決算書を提出している申告者であること

<ハ> 右<イ>及び<ロ>に該当するもので、税務署長が更正又は決定処分を行った者のうち、国税通則法の規定に基づく不服申立期間及び出訴期間を経過していない者並びに当該処分に対して不服申立てを行い、現在審理中の者又は訴訟係属中の者でないこと

(2) 同業者の平均差益率の算出方法について

右(1)により算出した基礎係数のなかに異例の数値が含まれている場合には、これを単純に算術平均してみても、その平均値は、適正な平均値とはいえないので、統計学上一般に認められている方式を用いて異例値を除外してその平均値を求めることとした。その方式は、まず、基礎係数の算術平均(別紙昭和四九年分差益率計算表の(1)、<4>参照)を求め、各基礎係数と算術平均との開差、いわゆる偏差を算出(同<5>参照)し、次にこの偏差を自乗(同<6>参照)したものを算術平均して得た数値を平方に開いて差益率の標準偏差(同表順号17参照)を求め、これに統計学上一般に用いられている係数一・五を乗じて限界値(別紙昭和四九年分差益率計算表の(2)の順号3参照)を求め、さらに基礎係数の算術平均に限界値を加算若しくは減算することによって適正な平均値を得るのに有効な基礎係数の上限及び下限を求めて(同表の(2)の順号5及び6参照)、その範囲内にある基礎係数のみに基づいて平均値(同業者の平均差益率)を計算した(別紙昭和四九年分差益率計算表の(3)参照)。

2  算出所得金額 五四五万九五五六円

算出所得金額とは、収入金額から前期事業所得金額の内容表の<3>即ち別紙計算書(一)のA欄の特別経費を除外した必要経費(収入原価は含む。青色申告書を提出する者に認められている諸特例に基づく控除額の金額を除く。)を控除した後の金額(算出所得金額=総収入金額-収入原価-一般経費)をいうところ、その算出方法は、原告仁義が被告の調査に協力しなかったので、前記1で主張した収入金額二二五七万八八一一円に同業者の平均算出所得率(算出所得率とは、算出所得金額を収入金額で除外した数値である。)を乗じて算出したものであり、その算式は次のとおりである。

(算式) 収入金額 平均算出所得率

22,578,811円×24.18%=5,459,556円

ところで、同業者の平均算出所得率二四・一八パーセントは、前記1、(二)で主張した統計学上一般に認められている方法と同様の方法により算出したものであり、また、同業者の抽出基準及び同業者の平均算出所得率の算出方法も前記1、(二)、(1)及び(2)と同様である。

(一) 同業者の抽出基準について

被告が平均算出所得率を算出するために抽出した同業者は、前記1、(二)、(1)で抽出した同業者一四件である。この同業者にかかる収入金額及び算出所得金額によって求められた算出所得率(以下「基礎係数」という。)は別紙昭和四九年分算出所得率計算表の(1)、<3>算出所得率欄記載のとおりであり、これを同業者の平均算出所得率を算出するための基礎資料とした。

(二) 同業者の平均算出取得率の算出方法について

これは、前記1、(二)、(2)と同様の方法により計算した。

なお、標準偏差、限界値及び平均値の計算は、別紙昭和四九年分算出所得率計算表のそれぞれ(1)、(2)。(3)のとおりである。

3  給料賃金 二一六万九五二八円

これは、原告仁義が原処分の調査時において、被告係官に対し、農閑期に臨時の従業員二名を雇傭していた旨申し立てていたので、前記1、(二)で主張した同業者の昭和四九年中に常傭していた従業員一人当りの暦年を通じて支払った給料賃金の平均額(一〇八万四七六四円、別紙昭和四九年分給料賃金の平均値を求める計算表のとおり。)に右申立人数二名を乗じて算出したものである。

なお、被告は、臨時の従業員二名を常傭で暦年を通じて勤務していたものとみて、原告仁義に有利に給料賃金の額を算定した。

(算式) 従業員1人当りの平均給与額 従業員数

1,084,764円×2人=2,169,528円

4  支払利息 九万五〇二一円

原告仁義が、昭和四九年中に支払った借入金利息の内訳は次表のとおりである。

<省略>

5  建物減価償却費 四万二九五六円

原告仁義が所有し、昭和四九年中に事業の用に供した資産(建物)について、所得税法四九条の規定に基づき次表のとおり算出した。

なお、建物の取得価額は、原告が審査請求の段階において主張した価額である。

<省略>

6  事業専従者控除額 五五万〇〇〇〇円

所得税法五七条三項(昭和四九年法律一五号改正によるもの)の規定に該当する事業専従者原告仁(原告仁義の長男)及び小貫隆久(原告仁義の三男)の二人に対する事業専従者控除額五五万〇〇〇〇円を必要経費とみなした。

(算式) 事業専従者控除額 事業専従者数

(1人当り)

275,000円×2人=550,000円

(原告仁の昭和五一年分所得税の事業所得金額)

原告仁の昭和五一年分所得税の事業所得金額の内容は次表即ち別紙計算書(二)のA欄に記載のとおりである。

事業所得金額の内容表

<省略>

各項目の金額の算出根拠は次のとおりであるが、その算出方法は、特に注記していないものは、原告仁義に関する前記昭和四九年分の計算根拠と同一である。

1  収入金額 四〇三七万八〇一一円

(算式) 収入原価 収入原価率

14,661,255÷36.31%=40,378,011円

(一) 収入原価は次のとおり算定した。

(算式)

期首棚卸材料在高 仕入金額 期末棚卸材料在高

300,000円+16,025,527円-1,664,271=14,661,256円

(1)  期首棚卸材料在高 三〇万〇〇〇〇円

これは、原告仁の父原告仁義が原告仁の代理人として、本件更正処分に係る審査請求の際の申述した金額である。

(2)  仕入金額 一六〇二万五五二七円

これの内訳は次表即ち別紙仕入金額内訳表(2)の被告主張の仕入金額欄のとおりであるところ、順号<4>、<5>、<7>ないし<11>の仕入金額は、原告仁が審査請求の段階において主張した金額と同額である。

<省略>

(3)  期末棚卸材料在高 一六六万四二七一円

これは、原告仁の父原告仁義が前記(1)と同様に申述した昭和五一年一二月末現在における未使用資材の金額三〇万〇〇〇〇円と次表のとおり計算した原告が受注した昭和五一年分未完成工事に相当する部分の収入原価一三六万四二七一円との合計額である。

なお、次表の荒川勘一郎分の請負金額及び完成割合は、原告仁の父原告仁義が申述した数値であり、また産興建築木材分の請負金額は、原告仁が同木材から受領した金額であるところ、これの完成割合は同木材の工事見積額三五七万六〇二〇円に対する未完成の階段工事等の部分三六万三四六〇円の割合一〇・一六パーセントを一〇〇パーセントから控除した数値である。

また収入原価率は、後記(二)の収入原価率を採用した。

<省略>

(二) 収入原価率三六・三一パーセントは、原告仁義に関する昭和四九年分と同様の方法により、次のとおり算出した。

(算式) 平均差益率

1-0.6369=0.3631

なお、同業者の平均差益率六三・六九パーセントも、右昭和四九年分と同様の方法により算出した。その計算内容は、別紙昭和五一年分差益率計算表の(1)、(2)、(3)のとおりである。

2 算出所得金額 一〇四〇万一三七四円

(算式) 収入金額 平均算出所得率

40,378,011円×25.76%=10,401,374円1

平均算出所得率二五・七六パーセントは、原告仁義に関する昭和四九年分と同様の方法により算出した。その計算内容は、別紙昭和五一年分算出所得率計算表の(1)、(2)、(3)のとおりである。

3 給料賃金 二六〇万八六一八円

これは、原告仁義に関する昭和四九年と同様の方法により、次のとおり算定した。

なお、昭和五一年分の平均給与額の計算方法は別紙昭和五一年分給料賃金の平均値を求める計算表のとおりである。

(算式) 従業員1人当りの平均給与額(年間) 従業員数

1,304,309円×2人=2,608,618

4 支払利息 四二万六一三四円

原告仁が昭和五一年中に支払った借入金利息の内訳は次表のとおりである。

<省略>

5 建物減価償却費 一〇万二三七五円

これは、原告仁義に関する昭和四九年と同様に次表のとおり算出した。

なお、昭和五一年八月に取得した事務所の取得価額は、原告仁の父原告仁義が審査請求の段階において申述した価額である。

<省略>

6 自動車除去損 三四万六〇二〇円

これは、原告仁の昭和五一年二月における自動車事故により同人所有の自動車(車種・トヨタクラウン)が減却したことに係る除去損であり、これを次のとおり算出した。

<省略>

7 事業専従者控除額 四〇万〇〇〇〇円

所得税法五七条三項(昭和五〇年法律一三号改正によるもの)の規定に該当する事業専従者小貫隆久(原告仁の弟)に対する事業専従者控除額四〇万〇〇〇〇円を必要経費とみなした。

(原告仁義に対する昭和四九年分の無申告加算税及び原告仁に対する昭和五一年分の過少申告加算税府下決定処分の根拠)

1  昭和四九年分の無申告加算税について

原告仁義は、昭和四九年分の所得税の確定申告をしないため、被告は、前記本件課税処分に関する調査の経緯(四)のとおり決定処分をしたので、国税通則法六六条一項一号の規定に基づき前記事業所得金額により納付すべきこととなった所得税額二四万一九〇〇円に一〇〇分の一〇の割合を乗じて得た金額二万四一〇〇円(同法一一八条三項により計算の基礎となる税額につき一〇〇〇円未満の端数を切捨てる。)が無申告加算税にかかる額である。

2  昭和五一年分の過少申告加算税について

原告仁は、昭和五一年分の事業所得金額として、前記(原告仁の昭和五一年分所得税の事業所得金額)2で主張した所得があったにもかかわらず、これを前記(本件課税処分に関する調査の経緯)で主張したとおり過少に申告していたので、同法六五条一項の規定に基づき右事業所得により納付すべき所得税額一〇二万四七〇〇円に一〇〇分の五の割合を乗じて得た金額五万一二〇〇円(同法一一八条三項により計算の基礎となる税額につき一〇〇〇円未満の端数を切捨てる。)が過少申告加算税にかかる額である。

(本件各課税処分の適法性について)

被告が本訴において主張する原告仁義の昭和四九年分の総所得金額は、二六〇万二〇五一円であり、また原告仁の昭和五一年分のそれは、六五一万八二二七円であるところ、本件更正処分(裁決後)の総所得金額は原告仁義の昭和四九年分は一九七万七〇九九円、また原告仁の昭和五一年分は二三六万九七六六円であり、いずれも右主張額の範囲内にあるから適法である。

そして、各原告にかかる本件無申告加算税及び過少申告加算税の各賦課決定処分も、先に主張したとおり、いずれも被告主張額の範囲内にあるから、なんらの違法もない。

(被告の主張に対する原告らの反論)

一  裁決の拘束力

1 国税不服審判所長は、原告らの審査請求に対し、原告らが、「原処分に係る調査の際において、事業所得の金額の計算に関する資料を提出せず、調査に協力しなかったことが認められる」ので、原処分庁が「取引先を調査して仕入金額を把握し、これに基づき同業者の原価率、所得率を用いて事業所得の金額を推計し」たことは正当であったとしながらも、審判所の調査心理によるものとして、原処分庁が「仕入金額を原価率で除して収入金額を算定したところにより推計した原処分に係る事業所得の金額は数額的に妥当性を欠く」と判断したうえで、審査請求にかかる原告らの所得金額を、収入金額についてはその全部を、また必要経費についてもその大部分をいずれも実額で把握して算出した。その結果、原告仁義の昭和四九年の所得金額を一九七万七〇九九円、所得税額を一四万八〇〇〇円、原告仁の昭和五一年の所得金額を金二三六万九七六六円、所得税額を一六万二八〇〇円としたうえ、それぞれ原処分の一部を取消す裁決をした。

2 ところで、国税通則法は、本件のような更正・決定処分の取消を求める訴を提起するについて、原則として処分庁に対する異議申立と国税不服審判所長に対する審査請求の二段階の手続を経由することを必要としている。そして、国税不服審判所は、その権限の行使について独立性が認められているものの司法機関ではなく、あくまで国税庁付属の行政機関でありその長は国税庁長官が任命するものであるから、その意味で審査請求に対する裁決機能を通じて行政作用の一端を担っているものである。したがって、審査請求に対する国税不服審判所長の裁決は、行政(課税庁側)内部の最終的判断とも言うべきものであり、それゆえに関係行政庁を拘束する効力を付与されているのである。裁決のこの拘束力の生じる範囲は、裁決主文だけでなくその前提となった要件事実の認定と効力の判断にまで及ぶものである。

そこで右裁決の主文及びこれと一体不可分の関係にある理由についての判断には拘束力が生じているのであり、従って被告は、右裁決の主文及びそれを根拠付ける理由について拘束されるから、本訴訟において右拘束力に反する主張をすることはできない。

3 ところが、被告は、本訴訟において、原処分時におけるそれと同様の推計課税の方法で収入金額と必要経費を算出し、原告仁義の昭和四九年の所得金額を二六〇万二〇五一円、原告仁の昭和五一年の所得金額を六五一万八二二七円と主張するものであって、被告のこの主張は、国税不服審判所の前記裁決の主文及びこれに示されている課税根拠に明らかに反するものである。

二  原告らの所得の実額

1 所得税の課税処分は、実額課税が原則であり、実額課税ができない場合に限って例外的にいわゆる推計課税が許されるものである。原告らは、原処分当時、被告が推計課税をすることのできる要件がないのに拘らず推計課税を行ったとまで主張するものではないが、少くとも現在においては、収入金額、必要経費のいずれについても実額を把握して所得金額を算出することが可能である。現に国税不服審判所は、前記のとおり、実額計算の方法により課税根拠を明らかにしているのである。それにもかかわらず、被告が本訴訟において、原処分時と同様の推計課税の方法によって本件決定及び更正処分の課税根拠を主張することは許されない。

2 そこで、原告らは、原処分の内容となっている所得金額が、次のとおり、国税不服審判所の裁決によって取消された部分を除いてもなお過大な認定であるのでその是を求める。

(原告仁義の昭和四九年所得金額について)

(一)  原告仁義の昭和四九年事業所得金額の内容は、別紙計算書(一)のC欄記載のとおりである。

(二)  原告仁義の昭和四九年の収入金額は、一八二四万五八八〇円であり、その内訳は、別紙収入金額一覧表(一)のとおりである。右一覧表は、取引先ごとに、工事等の代金額、工事施工等の時期、工事請負契約等の内容を、明らかにしたものである。

(三)  原告仁義が昭和四九年支出した資材費の内訳は、次表即ち別紙仕入金額内訳表(1)の原告主張の仕入金額欄のとおりである。

<省略>

右資材費のうち、原告仁義は、自分の工場建築のために、植木鋼材から仕入れた鉄骨六トン四五万〇〇〇〇円と淀川建材から仕入れたスレート三〇〇枚二〇万〇〇〇〇円とを使用したので、その合計六五万〇〇〇〇円を前記仕入金額の合計一〇四一万四三七五円から控除した九七六万四三七五円が昭和四九年の仕入原価である。

(四)  被告は、資材費(収入原価)の実額は九七四万五〇一五円であるとし、これに基づき収入金額と「算出取得金額」を推計し、収入金額から資材費と一般経費を控除した金額を五四五万九五五六円であると主張する(原告仁義はこの主張を認めてもよい。)。そして、被告は、右金額から特別経費として給料賃金二一六万九五二八円、支払利息九万五〇二一円、建物減価償却費四万二九五六円を控除し、さらに事業専従者控除額五五万〇〇〇〇円を控除して、事業所得の金額を二六〇万二〇五一円と主張する。

ところで、原告仁義は、特別経費に該当する外注費として三九一万六五四〇円支出している(乙一号証の一〇)。このうちの二六八万九三〇〇円については、その裏付けとなる領収書類を証拠として提出した(甲三二号証の一から二三まで)。

そこで、被告の主張する前記事業所得の金額から、右外注費のうちの原告仁義が領収書類を提出し得た分だけを控除しても、その金額はマイナス八万七二四九円となり、国税不服審判所の認定した事業所得の金額一九七万七〇九九円よりさらに低額であることに注目すべきである。

(五)  国税不服審判所の行った計算内容は別紙計算書(一)のB欄記載のとおりであるが、同審判所は、右計算にあたり、原告仁義の提出した収支計算書類と領収書等及び同審判所自身の調査事績に基づいて、収入金額についてはもとより必要経費についても給料賃金を除いて全て実額を把握し、給料賃金についてのみ推計によりその金額を把握したものである。

(六)  なお、国税不服審判所の計算には、次の二点に誤りがある。

(1) 国税不服審判所は、別紙計算書(一)のB欄記載のとおり、収入金額を金二〇八四万五八八〇円と認定したが、右金額中に昭和四八年の収入金額として取扱われるべき大栗直から支払われた納屋工事の請負代金六〇万〇〇〇〇円が計上されている。

原告仁義は、昭和四八年一二月二五日頃、右工事を完成させて引渡し、昭和四九年一月三〇日に右代金の支払を受けたものであるが、請負による収入金額の収入すべき時期は、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引渡した日であるから、右請負代金は昭和四八年の収入金額として取扱われるべきである。

国税不服審判所が右請負代金六〇万〇〇〇〇円を昭和四九年の収入金額として取扱ったのは、原告仁義が同審判所に提出した昭和四九年売上明細書に誤って右請負代金を計上したからであると思われる。

(2) 国税不服審判所は、給料賃金額を、別紙計算書(一)のB欄記載のとおり、金二三七万六四三〇円と推計した。

しかし、原告仁義は給料賃金として現実に二八〇万〇〇〇〇円を下らない金額を支出しているので、右の全額を必要経費に算入すべきである。

(七)  所得金額から控除される配偶者控除・扶養控除・基礎控除の合計額は六八万五〇〇〇円であるから、原告仁義の昭和四九年の課税総所得金額は、前記事業所得九五万三五二九円から右配偶者控除等の合計額を差引いた金二六万八五二九円である。

(原告仁の昭和五一年所得金額について)

(一)  原告仁の昭和五一年事業所得金額の内容は、別紙計算書(二)のC欄に記載したとおりである。

(二)  原告仁の昭和五一年の収入金額は二八四三万九六〇〇円であり、その内訳は、別紙収入金額一覧表(二)に記載したとおりである。この一覧表は、取引先ごとに工事代金額等を明らかにしたものである。

(三)  原告仁が昭和五一年に支出した資材費の内訳は、次表即ち別紙仕入金額内訳表(2)の原告主張の仕入金額欄のとおりである。

<省略>

原告仁が昭和五一年前記資材を使用して施工した工事の中には、次の一欄表記載のとおりの未完成工事分があるので、右未完成工事分にかかわる資材費についてはこれを未完成工事原価として前記仕入金額合計額から控除して仕入原価を算出すべきである。右未完成工事原価算出の根拠は次表記載のとおりである。

<省略>

前記仕入金額の合計額一五五四万七一一三円から右未完成工事原価の合計額金二七一万一三七七円を控除した一二八三万五七三六円が、昭和五一年の仕入原価である。

(四)  被告は、資材費(収入原価)の実額は一四六六万一二五六円であるとし、これに基づき収入金額と「算出所得金額」を推計し、収入金額から資材費と一般経費を控除した金額を一〇四〇万一三七四円であると主張する(原告仁はこの主張を認めてもよい。)。そして、被告は、右金額から特別経費として給料賃金二六〇万八六一八円、支払利息四二万六一三四円、建物減価償却費一〇万円二三七五円、自動車滅失損三四万六〇二〇円を控除し、さらに事業専従者控除額四〇万〇〇〇〇円を控除して、事業所得額を六五一万円八二二七円であると主張する。

ところで、原告仁は、特別経費に該当する外注費として四五三万二一七〇円支出しており、(乙二号証の一九頁)、このうちの四三四万三四四〇円については、その裏付けとなる領収書類を証拠として提出した(甲三九号証の一から三一まで、但し枝番の二二と二四を除く。)。また、同じく特別経費に該当する事故費として、被告の主張する自動車滅失損三四万六〇二〇円以外に少くとも二一六万五七五〇円以上支出しており(乙二号証の二〇頁)、このうちの一七八万七七六〇円については、その裏付けとなる領収書類を証拠として提出した(甲四〇号証の一ないし四六まで、但し枝番の四二、四三、四五、四六を除く。)。

そこで、被告の主張する前記事業所得の金額から、右外注費と事故費のうちの原告仁が領収書類を提出し得た分(その合計六一三万一二〇〇円)だけを控除しても、その金額は三八万七〇二七円となり、国税不服審判所が認定した事業所得の金額二三六万九七六六円よりさらに低額であることに注目すべきである。

(五)  国税不服審判所の行った計算内容は、別紙計算書(二)のC欄記載のとおりであるが、同審判所は、右計算にあたり、原告仁の提出した収支計算書類と領収書等及び同審判所自身の調査事績に基づいて、収入金額についても必要経費についても全てその金額を実額で把握したものである。

(六)  なお、国税不服審判所の右計算には、次の二点に誤りがある。

(1) 国税不服審判所は、収入額を三〇〇二万九六〇〇円と認定したが、この中には佐藤郁男から支払われた倉庫工事代金一〇七万〇〇〇〇円を二重に計上している。

(2) 国税不服審判所は、必要経費とみなされる事業専従者控除額を一人分の四〇万〇〇〇〇円とした。

しかし、原告仁の営む鉄骨工事業に専ら従事する同居の親族は、父原告仁義と弟小貫隆久の二名である。したがって、事業専従者控除額は八〇万〇〇〇〇円としなければならない。

(七)  所得金額から控除される雑損医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、損害保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除の合計額は九四万五〇〇〇円であるところ、事業所得金額は前記のとおり八九万九七六六円であるから、原告仁の昭和五一年の課税総所得金額はないことになる。

三 推計方法の不合理性

1 被告は、本件推計の方法に用いた平均収入原価率及び平均算出所得率を算出するために抽出した業者を、原告らの住所地を所轄する栃木税務署管内に事業所を有する者であって原告らと同種の事業を営む個人事業者で、所得税青色申告決算書を提出している申告者であることなどの条件に該当する者であるとしているが、それを抽出すべき基準は原告らと業種を同じくし、業態、事業規模、立地条件等において類似する同業者でなければならない。

2 しかるに、原告らの営む事業は被告主張にかかる鉄骨工事業者ではなく、総合建設業である。

3 また、被告は平均算出所得率を算出する際に一般経費に当たらないとして除外したものを、給料賃金、借入金利子割引料、建物減価償却費、地代家賃、貸倒金、廃棄損失及びこれらと内容が同じものだけであると主張し、同業者調査表(乙四号証)の一般経費中には外注費等も含まれていると主張しているものと思われるが、被告は、右調査表を作成するに当り選定したとする同業者の住所氏名も明らかにせず、基礎資料として使用したその者の青色申告決算書の提出もしないから、被告の右主張に根拠があるのか否かを判断する手掛がない。

4 したがって、本件各課税処分につき被告の採った推計方法は合理性を欠くものである。

(原告らの主張に対する被告の認否)

一  裁決の拘束力についての主張は争う。

1 税務訴訟において、被告課税庁が課税処分時の理由に拘束されずに、これと異なる理由を主張することができることは、既に確定した判例理論であり、その理論的根拠は、課税処分取消訴訟の審判の対象が当該処分により認定された所得金額が存在するか否かによって違法性の存否を明らかにすることにあるからである。

したがって、被告課税庁としては、口頭弁論終結に至るまで当該処分で認定した所得金額が存在することを根拠づけ得るすべての事由を攻撃防御方法として主張することができ、当該課税処分の適法性を主張するためには、当該処分で認定した所得金額以上の所得金額が存在することを主張することも許される。

2 ところが、原告らは、審査裁決には拘束力があるとして、被告課税庁としては、裁決理由中で示された理由に拘束され、これと異なる理由を訴訟において主張することはできない旨主張する。

しかしながら、国税通則法一〇二条一項が設けられた趣旨は、課税処分を取り消す裁決があれば、その裁決自体の効力により、違法又は不当であった課税処分は当然に取り消されるものの、その後、再び当該課税庁が裁決で取り消された課税処分と同様の資料、理由により同様の処分をすることができるとするならば、当該裁決が無意味となり、納税者の権利救済の目的を達することができなくなるからである。したがって、同条項は、その限りにおいて拘束力を認めたもので、いわば当然のことを規定したにすぎないのであり、また、棄却及び却下の裁決においては、再び処分をすることはあり得ないのであるから、この裁決の拘束力は生じないとされているのである。以上のことは、課税処分が一部取り消された場合であっても同断であって、課税庁が取り消された部分につき、再び当該裁決で排斥された理由と同じ資料、理由で処分することはもとより、取り消された部分を適法有効なものと取り扱うことも許されないことはいうまでもない(この限りにおいて拘束力が認められる。)が、取り消されないで維持された部分につきなお不服があるとして提起された課税処分取消訴訟において、被告課税庁が取り消されないで維持された処分の適法性を理由あらしめるために、裁決と異なる理由を主張し得ないというものではない。被告課税庁は、当該裁決が一部取消しに当たり裁決の理由中で排斥したところの原処分にかかる理由以外の理由を訴訟において主張することは、何ら裁決の拘束力に抵触するものではない。

3 そもそも、裁決の拘束力は、裁決の主文及びこれと不可分一体となる裁決の理由すなわち取り消し裁決の前提となった事実の判断について生ずるものとされており、取消裁決の主文と関係のない理由中の判断には拘束力は存しないものとされているのである。

しかるに、本件裁決は、推計課税の必要性につき、原告らの本件係争各年分の所得金額を推計により認定する必要性はなかったと判断しているものではなく、その必要性はあったと認定した上で、課税庁がその推計に用いた資料の中には相当でないものがあったと判断しているにすぎないのであるから、本訴において、被告課税庁が原告らの所得金額について推計により主張することも、また、裁決で認定した所得金額を上回る金額を主張することも、裁決の拘束力には少しも反しない。

二  原告らの所得の実額の項について

1 二原告らの所得の実額1の項は争う。

2 同2の項のうち

(原告仁義の昭和四九年所得金額について)の

(一) 計算書(一)のC欄の所得金額は争う。

同表の収入金額は争う。

同表の資材費については争う。

原告仁義主張にかかる資材費は、被告主張の仕入金額に相当するものと思料されるところ、その仕入先及び仕入金額の内訳は、前記被告の主張即ち別紙仕入金額内訳表(2)の被告主張の仕入金額欄記載のとおりである。

同表の一般経費については不知。

同表の特別経費の給料賃金は争い、外注費及び事故費は不知、支払利息及び減価償却費(建物)は認める。

同表の事業専従者控除額は認める。

同表のその余の金額は認める。

(二) (原告仁義の昭和四九年所得金額について)の(二)の項の項のうち、別紙収入金額一覧表(一)番号13の代金額は否認し、同表のその余は不知、その余は争う。

(三) 同(三)は争う。

(四) 同(四)は争う。

(五) 同(五)は認める。

(六) 同(六)1中、裁決における収入金額の認定額が原告ら主張の金額のとおりであることは認め、昭和四九年の収入金額が原告仁義主張のとおりの金額であることは争い、その余は不知。

同(六)2中、裁決における給料賃金の認定額及び認定方法が原告仁義主張のとおりであることは認め、その余は争う。

(七) 同(七)中、配偶者控除、扶養控除、基礎控除の合計額が六八万五〇〇〇円であることは認め、その余は争う。

(原告仁の昭和五一年所得金額について)の

(一) 計算書(二)のC欄の所得金額は争う。

同表(二)の収入金額は争う。

同表の資材費については争う。

原告ら主張にかかる資材費は、被告主張の仕入金額に相当するものと思料されるところ、その仕入先及び仕入金額の内訳は前記被告の主張即ち別紙仕入金額内訳表(2)の被告主張の仕入金額欄記載のとおりである。

同表の未完成工事原価については争う。

原告ら主張にかかる未完成工事原価は、被告主張の未完成工事に相当する部分の収入原価に相当するものと思料されるところ、その工事先等の内訳は、前記被告の主張のとおりである。

同表の一般経費については不知。

同表の特別経費についての給料賃金及び事故費(被告主張の自動車除去損に相当するもの)は争い、外注費及び貸倒損は不知。支払利息及び減価償却費(建物)は認める。

同表の事業専従者控除額については争う。これについては、前記被告の主張のとおりである。

同表のその余の金額は認める。

(二) (原告仁の昭和五一年所得金額について)の(二)の項のうち、別紙収入金額一覧表(二)番号9の施工時期、契約内容は認めるが、工事代金は否認し、番号21の工事代金は否認し、同表のその余は不知、その余は争う。

(三) 同(三)は争う。

(四) 同(四)は争う。

(五) 同(五)は認める。

(六) 同(六)1中、裁決における収入金額の認定額が原告ら主張の金額のとおりであることは認め、昭和五一年の収入金額が原告仁主張のとおりの金額であることは争い、その余は不知。

同(六)2中、裁決における事業専従者控除額が原告仁主張のとおりであることは認め、その余は争う。

(七) 同(七)中、所得金額から控除される原告仁主張の各科目の合計額が九四万五〇〇〇円であることは認め、その余は争う。

第三証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録に各記載のとおりであるから、ここにそれを引用する。

理由

一  課税処分

甲事件原告の請求の原因一及び二の項(原告仁義に対する課税処分)並びに乙事件原告の請求の原因一及び二の項(原告仁に対する課税処分)はいずれも当事者間に争いがない。

二  原告らの所得の実額について

原告らは、本件課税については実額によるべきことを主張し、被告が推計の方法によったことを非難するところ、実額についての立証がされ、それに基づく課税額が本件課税額の範囲内で、裁決により取消されなかった課税額を下回れば、被告が採った推計方法の当否に拘わらず本件課税処分は取消されるべきことになるから、右推計方法を採ったことの当否をさておき、まず原告らの所得の実額について判断することとする。

(原告仁義の昭和四九年分所得)

1  原告仁義は、昭和四九年の収入金額を別紙収入金額一覧表(一)のとおり、一八二四万五八八〇円であると主張し、右主張に沿う証拠として、原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一号証、二三号証の一から三二まで及び二四号証の一から一二までを掲げる。

しかし、右各証拠には、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙一七号証の一から四までにより窺われる下野アルミサツシ株式会社からの工事代金二九万四〇〇〇円が計上されていないこと、原告仁義において当初(昭和五七年二月一八日付原告ら準備書面)昭和四九年の収入として甲一号証と二三号証の二九に記載してある小貫昇悦からの工事代金一〇〇万円〇〇〇〇円を昭和五〇年の収入とし昭和四九年の収入として計上していないことについて裏付け資料がないこと、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙一八号証によれば、原告仁義において昭和四九年中の完成ではなく工事代金も一〇〇万〇〇〇〇円にすぎないとして同年の収入金額として計上しなかった粂川光雄からの受注にかかる納屋の工事は昭和四九年中に完成しその工事代金は一五〇万円〇〇〇〇円であったことが窺われること、原告小貫仁義本人尋問の結果によると、甲一号証は、原告仁義が国税不服審判所に提出するために甲二三号証の一から三二まで、二四号証の一から一二までの領収書控綴等と同原告の記憶に基づいて作成されたものであるところ、原告仁義の昭和四九年分の収入の総てが含まれているものではないのみならず、甲二四号証の一は同原告において昭和四八年の収入であるとして昭和四九年の収入として計上していない大栗直からの六〇万〇〇〇〇円が昭和四九年一月三〇日の収入であるかのように記載されていること及び右領収書控綴が一部欠落していることが窺われることから右領収書控綴は同原告の取引内容を正確に記憶したものではないとの疑いを払拭し難いこと、等の事情があることに照らすと、前掲原告仁義の挙示する各証拠をもって原告仁義の同年分の全収入を示す資料としては採用できず、その他に同原告の同年の全収入金額を把握すべき証拠はない。

2  原告仁義は、昭和四九年の資材仕入金額を別紙仕入金額を別紙仕入金額内訳表(1)の原告主張の仕入金額欄記載のとおり一〇四一万四三七五円であると主張し、右主張に沿う証拠として、原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一号証、二号証の一から一〇まで、三号証の一から四まで、四号証の一から四まで、五号証の一から八まで、六号証の一・二、七号証の一・二、八号証の一から八まで、九号証及び一〇号証を掲げるが、そのうち、甲一号証は、原告小貫仁義本人尋問の結果により前記1と同様原告仁義において国税不服審判所に提出するために甲二号証の一から一〇まで、三号証の一から四まで、四号証の一から四まで、五号証の一から八まで、六号証の一・二、七号証の一・二、八号証の一から八まで、九号証、一〇号証等の領収証等と原告仁義の記憶に基づいて作成されたものであることが認められるところ、甲二号証、四号証、五号証及び甲一号証のうちそれらに対応する部分については、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙七号証、九号証、一〇号証に照らし採用できず、甲一号証のその他の分の仕入については当事者間に争いがないとはいえ、結局、右各証拠をもって原告仁義の昭和四九年の資材仕入金額が右金額であることを示す資料としては採用できず、その他にそれを認めるに足りる証拠はない。

3  原告仁義は、昭和四九年の経費として別紙計算書(一)のC欄のとおり、給料賃金二八〇万〇〇〇〇円、外注費三九一万六五四〇円、建物減価償却費四万二九五六円、事故費三一万六〇〇〇円、車両費六一万五七五〇円を計上し、それに沿う証拠として、給料賃金につき原告小貫仁義本人尋問の結果及び甲一号証を、外注費につき原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一号小及び三二号証の一から二三までを、建物減価償却費及び事故費につき原告小貫仁義本人尋問の結果及び甲一号証を車両費につき原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一号証及び三〇号証を掲げるが、原告小貫仁義本人尋問の結果によると、甲一号証は前記1のように原告仁義において国税不服審判所に提出するために右甲三二号証の一から二三まで(外注費について)の領収証等と同原告の記憶にもとづいて作成されたものであるところ、原告小貫仁義本人尋問の結果によれば、原告仁義は昭和四九年の給料明細書や給与台帳を作成しておらず、その記憶も必ずしも明確でないこと、同原告において給与ないし賃金の支払いについて所得税の源泉徴収も国への納付もしていないことが窺われること、甲三二号証の一から二三までによれば昭和四九年の外注費の合計は二六八万九三〇〇円にすぎないことになるべきであり原告仁義の右主張金額と符合しないのみならず、成立に争いのない乙二六号証の一・二によれば、甲三二号証の三に貼付されている収入印紙は昭和五〇年四月一日から適用されたものであって甲三二号証の三にその作成日として記載されている昭和四九年一二月三〇日当時には発行されていなかったことが認められること、建物減価償却費および事故費については原告小貫仁義本人尋問の結果および甲一号証を裏付ける他の資料がないこと、前記乙二六号証の一・二によれば甲三〇号証に貼付されている収入印紙は昭和五〇年四月一日から適用されたものであって甲三〇号証にその作成日として記載されている昭和四九年一〇月一五日当時には発行されていなかったことが認められ、しかも成立に争いのない乙二八号証によれば甲三〇号証の各宛人として記載されている有限会社小貫鉄工建設の設立登記がされたのは昭和五二年三月二八日であって右昭和四九年一〇月一五日当時はその商号が用いられていなかったことが認められること、以上に照らし右経費を証する資料としては採用できず、その他に右経費を具体的に根拠付ける資料はない。

4  以上によれば、原告仁義の昭和四九年の全収入を把握すべき資料を欠くうえ、そのことによってそもそも同年の収入に対応する資材費や経費を把握すべき前提をも欠くことになるのみならず、同年の資材費や経費を把握すべき資料そのものをも欠いていることになる。

(原告仁の昭和五一年分所得)

1  原告仁は、昭和五一年の収入金額を別紙収入金額一覧表(二)のとおり二八四三万九六〇〇円であると主張し、右主張に沿う証拠として、原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一一号証、二五号証の一から二七まで、二六号証の一から五〇まで及び二七号証の一から一九までを掲げるが、右証拠には、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙二四号証により、原告仁において株式会社日本ドールから受注し昭和五一年中に完成したことが窺われる建築工事の代金一六五万八〇〇〇円が同年の収入金額として計上されていないこと、前記乙一八号証によれば、原告仁において昭和五一年中の完成ではないとして同年の収入金額として計上しなかった粂川孝雄からの受注にかかる車庫・テラスの工事は同年中に完成しておりその工事代金は一七万円であることが窺われること、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙一九号証の一から三までによれば、原告仁において昭和五一年の収入金額として一〇〇万円〇〇〇〇円を計上している有限会社大幸機械から受注して建築工事代金の額は二〇〇万〇〇〇〇円であることが窺われること、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙二〇号証の一から一二までによれば、原告仁において昭和五一年中の完成ではないとして同年の収入金額として同年中の施行分であるとする八二万九二八〇円を計上した有限会社壬生アルミ(昭和五一年当時の商号有限会社大平アルミ建装)からの建築工事は同年中に完成しておりその工事代金は二〇二万九二八〇円であることが窺われること、証人山崎勝義の証言により真正に作成されてものと認められる乙二一号証の一・二によれば、原告仁において昭和五一年中の完成ではないとして同年の収入金額として計上しなかった有限会社産興建築木材店から受注した工事代金二五万九二〇〇円が同年の収入であることが窺われること、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙二二号証の一・二によると、原告仁において荒川功からの受注にかかる昭和五一年の物置工事代金九〇万〇〇〇〇円として計上したものの工事代金は一三〇万〇〇〇〇円であることが窺われること、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙二三号証によると、原告仁において渡辺速男からの受注にかかる昭和五一年の建築工事代金二〇〇万〇〇〇〇円として計上しているものの工事代金は二二〇万〇〇〇〇円ないし二三〇万〇〇〇〇円であることが窺われること、原告仁において当初(昭和五七年二月一八日付原告ら準備書面)昭和五一年の収入として主張しその一部を甲一一号証及び二六号証の一六・三四・四二に記載してある小貫昇悦からの工事代金三五万〇〇〇〇円を昭和五〇年の収入として昭和五一年の収入として計上していないことについて裏付け資料がないこと、原告小貫仁義本人尋問の結果によると、甲一一号小は、原告仁義が国税不服審判所に提出するために甲二五号証の一から二七まで、二六号証の一から五〇まで及び二七号証の一から一九までの領収書控綴等と同原告の記憶に基づいて作成されたものであるところ、原告仁の昭和五一年分の収入の総てが含まれているものではないのみならず、右領収書控綴が一部欠落していることが窺われることから右領収書控綴は同原告の取引内容を正確に記載したものではないとの疑いを払拭し難いこと、以上に照らすと、前記原告仁が挙示する各証拠をもって原告仁の同年分の全収入を示す資料としては採用できず、その他に原告仁の同年分の全収入金額を把握すべき証拠はない。

2  原告仁は昭和五一年の資材仕入金額を別紙仕入金額内訳表(2)の原告主張の仕入金額欄記載のとおり一五五四万七一一三円であると主張して、右主張に沿う証拠として、原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一一号証、一二号証の一から一一まで、一三号証の一から五まで、一四号証の一から一二まで、一五証の一から三まで、一六号証の一から四まで、一七号証の一から四まで、一八号証の一から三まで、一九号証、二〇号証の一から一八まで及び二一号証を掲げるが、そのうち、甲一一号証は原告小貫仁義本人尋問の結果によれば、原告仁義において前記1と同様国税不服審判所に提出するために甲一二号証の一から一一まで、一三号証の一から五まで、一四号証の一から一二まで、一五号証の一から三まで、一六号証の一から四まで、一七号証の一から四まで、一八号証の一から三まで、一九号証、二〇号証の一から一八まで、二一号証の領収証等と同原告の記憶に基づいて作成されたものであるところ、甲一一号証に記載されている淀川建材の五一万五二四〇円については他に裏付けの資料がなく、甲一二号証の一から一一まで、一四号証の一から一二まで、一七号証の一から四まで、一八号証の一から三まで、並びに甲一一号証のうちそれらに対応する部分については、証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙八号証、一〇号証、一二号証及び一三号証に照らし採用できず、甲一一号証に記載のその他の分の仕入れについては当事者間に争いがないとはいえ、結局、右各証拠をもって原告仁の昭和五一年の資材仕入金額が右金額であることを示す資料としては採用できず、その他にそれを認めるに足りる証拠はない。

3  原告仁は、昭和五一年の経費として別紙計算書(二)のC欄のとおり、給料賃金三八五万四四〇〇円、外注費四五三万二一七〇円、建物減価償却費一〇万二三七五円、事故費二五二万六七一〇円、車両費七〇万三六〇〇円を計上し、その証拠として原告小貫仁義本人尋問の結果、甲一一号証、三四号証の一から三二まで(給料賃金について)、三九号証の一から三二まで(外注費について)、四〇号証の一から四四まで(事故費について)及び三五号証の一から三まで(車両費について)を掲げるが、甲一一号証は、原告小貫仁義本人尋問の結果によると、原告仁義において前記1のように国税不服審判所に提出するために甲三四号証の一ないし三二まで、三九号証の一から三二までと同原告の記憶に基づいて作成されたものであるところ、甲三四号証の一から三二は、原告小貫仁義本人尋問の結果によると、原告仁義において昭和五四年ころ当時残存していた出勤日数のメモに基づいて作成したものであることが窺われるのみならず、証人鷲見守夫の証言により真正に作成されたものと認められる乙二五号証によると、原告仁に対する課税処分がされた昭和五二年一二月二三日当時には市販されていなかった用紙が用いられていることが窺われること、原告小貫仁義本人尋問の結果によれば、原告仁義は昭和五一年の給料明細書や給与台帳を作成しておらず、その記憶も必ずしも明確ではないこと、原告仁において給与ないし賃金の支払いについて所得税の源泉徴収も国への納付もしていないことが窺われること、甲三九号証の一から三二までによれば、昭和五一年の外注費は四八五万八一二〇円となるべきところ、甲一一号小の記載内容とも原告仁の主張額とも符合しないのみならず、証人鷲見守夫の証言によると、篠原俊延は甲三二号証の二二に対応する受注をしていないことが窺われること、甲三九号証の一七の金額欄の記載に筆具の異なるものが混在していることが窺われること、甲三九号証の一一・二四は、原告小貫仁義本人尋問の結果によると、原告仁義の自宅や原告ら経営にかかる工場の補修費用に関するものを含む領収書であることが窺われること、成立に争いのない乙二号証と六号証によると、原告仁は昭和五〇年の確定申告につき弟の小貫隆久及び原告仁義を事業専従者としながら昭和五一年の確定申告については弟の小貫隆久のみを事業専従者とし、原告仁義を事業専従者とはせず、原告小貫仁義本人尋問の結果によるも原告仁義は同人を事業専従者としなかったのは失念したからと弁解するのみであることが窺われること、甲四〇号証の一から四四までによる事故費の額二〇八万円七七六〇円と甲一一号証のそれに対応する金額と符合しないことが窺われるうえ、原告仁主張にかかる事故が同原告の業務遂行に関して生じたものであることを裏付ける資料がないこと、甲三五号証の一から三までによる車両費の額二一万八六五〇円と甲一一号証のそれに対応する金額と符合しないことが窺われること、以上に照らし右経費を証する資料としては採用できず、その他に右経費を具体的に根拠付ける資料はない。

4  以上によれば、原告仁の昭和五一年の収入を把握すべき資料を欠くうえ、そのことによってそもそも同年の収入に対応する資材費や経費を把握すべき前提をも欠くことになるのみならず、同年の資材費や経費を把握すべき資料そのものをも欠いていることになる。

三  原告らの事業所得額の推計

1  推計課税の必要性

被告の主張(本件課税処分に関する調査の経緯)(一)ないし(五)の経緯により、原告らが被告による課税調査及び国税不服審判所での審理に応ぜず、また信頼できる原始資料を提出しなかったことにつき原告らにおいて明らかに争わないこと及び前記二のように本件口頭弁論終結時において原告らの所得の実額を把握すべき資料を欠いていることによると、被告が前記一の各課税処分において推計課税の方法を採ったことについてはその必要性を認めることができるのみならず、本件口頭弁論終結時においても原告らの昭和四九年及び同五一年の事業所得額の把握は推計の方法による必要性があるものと認められる。

2  事業所得金額の推計方法

(原告仁義の昭和四九年分)

(一) 収入金額

(1) 収入原価(仕入れ原価)

前記四掲記の乙七号証(別紙仕入金額内訳表(1)の1について)、九号証(同2について)、一〇号証(同4について)及び当事者間に争いのない仕入金額(同3及び5ないし9)によれば、原告仁義の昭和四九年の仕入金額は別紙仕入金額内訳表(1)の被告主張の仕入金額欄に記載のとおり、合計一〇三九万五〇一五円であることが認められ、同原告においてそれ以上の金額であることを証する資料として提出した甲一号証、四号証の一、五号の一から三までは、同四号証の一が乙九号証によれば値引き分一万七〇〇〇円が含まれていないこと、甲五号証の一から三までが乙一〇号証によれば値引き分合計一八六〇円が含まれていないこと、甲一号証は前記二のとおり右甲号各証と同原告の記憶に基づいて作成されたものであることに各照らしいずれも採用できず、他に同原告の右主張を認めるに足りる証拠も、同原告の昭和四九年の仕入金額が被告主張の金額以上であることを認めるべき証拠はない。

原告小貫仁義本人尋問の結果(後期採用しない部分を除く。)及び成立に争いのない乙一号証によれば、右仕入金額の中には、原告仁義において同人の工場建築等のために使用した、植木鋼材株式会社から仕入れた鉄骨六トン四五万〇〇〇〇円及び有限会社淀川建材店から仕入れたスレート三〇〇枚二〇万〇〇〇〇円の分が含まれていることが認められ、この認定に反する原告小貫仁義本人尋問の結果部分は右乙一号小に照らし採用できず、他に右認定を左右する証拠はない。

そこで、原告仁義の昭和四九年の収入原価(仕入原価)は、一〇三九万五〇一五円から六五万〇〇〇〇円を差引いたところの九七四万五〇一五円となる。

(2) 収入原価率

いずれも成立に争いのない乙三号証、四号証によると、原告らの住所地を所轄する栃木税務署管内の申告所得税事務業種分類表(国税庁直税部所得税課編)のうち鉄骨業を営む個人で、<1>昭和四九年及び同五一年について、各年分とも暦年を通じて事業を継続している者で、年の途中において開廃、転業等業態の変更のない者であること、<2>所得税青色申告決算書を提出している申告者であること、<3>右<1>及び<2>に該当するもので、税務署長が更正または決定処分を行った者のうち、国税通則法の規定に基づく不服申立期間及び出訴期間を経過していない者ならびに当該処分に対して不服申立てを行い、現在審理中の者または訴訟係属中の者でないことの総ての条件に該当するもの全部を対象とした昭和四九年及び同五一年の売上(収入)金額、売上原価、差益金額、一般経費、算出所得金額(差益金額から一般経費を差引いたもの)、差益率(差益金額を売上金額で除したもの)、算出所得率(算出取得金額を売上金額で除したもの)、常備で雇傭する男性の従業員数、従事月数(右従業員が従事した月数の年間延月数)、人員換算率(従事月数を一二か月で除したもの)、年間支払給料賃金額を調査した結果、昭和四九年における栃木税務署管内の個人で鉄骨工事業を営む一四名の平均差益率は被告の主張(原告仁義の昭和四九年分所得税の事業所得金額)1(二)及び別紙昭和四九年分差益率計算表のとおり〇・五六八四(五六・84パーセント)となり、平均収入原価率は一から右平均差益率〇・五六八四を差引いた〇・四三一六(四三・一六パーセント)となることが認められ、右認定を不合理ならしめる事情を認めるべき資料はない。

(3) 収入金額

そこで、原告仁義の昭和四九年の推計収入金額は、前記(1)の収入原価九七四万五〇一五円を前記(2)の平均収入原価率〇・四三一六で除したところの二二五七万八八一一円となる。

(二) 算出所得金額

(1) 算出所得率

前記(一)(2)記載の調査の結果によれば、昭和四九年における栃木税務署管内の個人で鉄骨工事業を営む一四名の平均算出所得率は、被告の主張(原告仁義の昭和四九年分所得税の事業所得金額)2(二)及び別紙昭和四九年分差益率計算表のとおり〇・二四一八(二四・一八パーセント)となることが認められ、右認定を不合理ならしめる事情を認めるべき資料はない。

(2) 算出所得金額

そこで、原告仁義の昭和四九年の推計算出所得金額は、前記(一)の推計収入金額二二五七万八八一一円に右平均算出所得率〇・二四一八を乗じたところの五四五万九五五六円となる。

(三) 特別経費

(1) 給料賃金

前記二のとおり、原告仁義において従業員に支払った給料賃金についてはその額を裏付ける資料がないところ、前記乙四号証によると、前記同業者が昭和四九年に従業員に支給した給料賃金は、別紙昭和四九年分給料賃金の平均値を求める計算のとおり、一人一年平均一〇八万四七六四円であり、一事業所当たりの従業員の数(人員換算数)は二名を越えないことが推定され、それによると原告仁義が昭和四九年に従業員が支払った給料賃金は、二一六万九五二八円と推計される。

(2) 支払利息

原告仁義において昭和四九年に金融機関に対し支払った借入金利息が合計九万五〇二一円であることについては当事者間に争いがない。

(3) 建物減価償却費

原告仁義の昭和四九年の建物減価償却費が四万二九五六円であることについては当事者間に争いがない。

(4) 特別経費

そこで、特別経費は、右(一)ないし(三)の合計二三〇万七五〇五円と推計される。

(四) 事業専従者控除額

原告仁義の昭和四九年の事業専従者控除額が一人につき二七万五〇〇〇円、二人分合計五五万円であることについては当事者間に争いがない。

(五) 事業所得金額

以上により、原告仁義の昭和四九年の事業所得は、右(二)の算出所得金額から(三)の特別経費及び(四)の事業専従者控除額を差し引いた二六〇万二〇五一円であると推計される。

なお、原告仁義主張にかかる公租公課、燃料費、通信費、光熱費、福利厚生費、交際費、事務費、車両費、建物以外の減価償却費、雑費の項目については、前記(二)の算出所得金額算定の際に計算されていることになるから、その項目を更に控除すべきではない。

また、原告仁義主張の外注費は、前記二のとおりそれを裏付ける資料の一部に疑義があるのみならず、前記二のとおりそれに対応する同原告受注にかかる工事の収入金額を裏付ける資料がない以上、その工事の一部にあたる外注費だけを独立に控除すべきではない。しかも、前記認定したところによれば、算出取得金額算定の際ににそれが含められていることが認められるから、更にそれを控除すべき理由はない。

更に、原告仁義主張の事故費は、前記二のとおりそれを裏付ける資料を欠くのみならず、それが業務について生じたものとする以上、同原告のどの収入に関するものかを特定する必要があるところ、前記のとおり収入についてそれを裏付ける資料を欠くから、事故費のみを独立に控除すべきではない。しかも、前記認定したところによれば、算出取得金額算定の際にそれが含められていることが認められるから、更にそれを控除すべき理由はない。

(原告仁の昭和五一年分)

(一) 収入金額

(1) 収入原価(仕入原価)

前記乙八号証(別紙仕入金額内訳表(2)の1について)、一二号証(同2について)、一〇号証(同3について)、一三号証(同6について)及び当事者間に争いのない仕入金額(同4、5及び7ないし11)によれば、原告仁の昭和五一年の仕入金額は別紙仕入金額内訳表(2)の被告主張の仕入金額欄に記載のとおり、合計一六〇二万五五二七円であることが認められ、同原告においてそれ以上の金額であることを証する資料として提出した甲一一号証、一二号証の一から一一まで、一八号証の一から三まで、一四号証の一から一二まで及び一七号証の一から四までは、甲一一号証が前記二のとおり右甲号各証と同原告の記憶に基づいて作成されたものであること、乙八号証の昭和五〇年一二月三〇日の欄の記載と符号しないこと、乙一二号証によると昭和五一年一二月一七日から同月二九日までの取引の記載がないこと及び乙一三号証によると値引き分の記載がされていないことに照らし採用できず、その他の右甲号各証のみによっては同原告主張の仕入金額を認めることができず、その他に同原告の右主張を認めるに足りる証拠も、同原告の昭和五一年の仕入金額が被告主張の金額以上であることを認めるべき証拠もない。

成立に争いのない乙二号証によれば、原告仁義は原告仁に代わって昭和五〇年の課税処分についての審査請求の際に審査官に対し、原告仁の事業において昭和五〇年一二月末日当時植木鋼材株式会社からの仕入れにかかる鋼材の内の三〇万〇〇〇〇円(四トン)が末使用分として在庫している旨も申述していることが認められ、それによると、原告仁についての昭和五一年期首棚卸材料在高は三〇万〇〇〇〇円と推計される。

右乙二号証によれば、原告仁義は原告仁に代わって本件課税処分についての審査請求の際に審査官に対し、右在庫は昭和五一年一二月末日においても残存していた旨申述していることが認められ、それによると原告仁についての昭和五一年期末棚卸材料在高の一部として三〇万〇〇〇〇円があったものと推計される。また、右乙号証及び当事者間に争いのない事実によれば、原告仁義は原告仁に代わって本件課税処分についての審査請求の際に審査官に対し、荒川勘一郎からの代金二七五万〇〇〇〇円の請負工事は昭和五一年一二月末日当時二〇パーセントの完成がなされていたことを申述していたこと、有限会社産興建築木材からの三五七万〇〇〇〇円の請負工事は昭和五一年一二月末日当時工事見積額三五七万六〇二〇円に対する末完成工事相当部分三六万三四六〇円の割合一〇・一六パーセントが未完成、即ち八九・八四パーセントが完成部分であることが認められ、それらに後記収入原価率を乗ずるとそれぞれの未完成工事に相当する部分の収入原価は前者が一九万九七〇五円、後者が一一六万四五六六円と推計される。したがって、原告仁についての昭和五一年期末棚卸材料在高は合計一六六万四二七一円と推計される。

そこで、原告仁についての昭和五一年の収入原価(仕入原価)は、期首卸材料在高と仕入金額の合計金額から期末棚卸材料在高を差し引いた一四六六万一二五五円となる。

(2) 収入原価率

前記(原告仁義の昭和四九年分)1(二)の調査の結果昭和五一年における栃木税務署管内の個人で鉄骨工事業を営む二一名の平均差益率は被告の主張(原告仁の昭和五一年分所得税の事業所得金額)1(二)及び別紙昭和五一年分差益率計算表のとおり〇・六三六九(六三・六九パーセント)となり、平均収入原価率は一から右平均差益率〇・六三六九を差引いた〇・三六三一(三六・三一パーセント)となることが認められ、右認定を不合理ならしめる事情を認めるべき資料はない。

(3) 収入金額

そこで、原告仁の昭和五一年の推計収入金額は、前記(1)の収入原価一四六六万一二五五円を前記(2)の平均収入原価率の〇・三六三一で除したところの四〇三七万八〇一一円となる。

(二) 算出所得金額

(1) 算出所得率

前記(一)(2)の調査の結果によれば、昭和五一年における栃木税務署管内の個人で鉄骨工事業を営む二一名の平均算出所得率は、被告の主張(原告仁の昭和五一年分所得税の事業所得金額)2(二)及び別紙昭和五一年分差益率計算表のとおり〇・二五七六(二五・七六パーセント)となることが認められ、右認定を不合理ならしめる事情を認めるべき資料はない。

(2) 算出所得金額

そこで、原告仁の昭和五一年の推計算出所得金額は、前記(一)の推計収入金額四〇三七万八〇一一円に右平均算出所得率〇・二五七六を乗じたところの一〇四〇万一三七四円となる。

(三) 特別経費

(1) 給料賃金

前記二のとおり、原告仁義において従業員に支払った給料賃金についてはその額を裏付ける資料がないところ、前記乙四号証によると、前記同業者が昭和五一年に従業員に支給した給料賃金は、別紙昭和五一年分給料賃金の平均値を求める計算のとおり、一人一年平均一三〇万四三〇九円であり、一事業所当たりの従業員の数(人員換算数)は二名を超えないことが推定され、それによると原告仁が昭和五一年に従業員に支払った給料賃金は、二六〇万八六一八円と推計される。

(2) 支払利息

証人山崎勝義の証言により真正に成立したものと認められる乙一四号証の一から四まで及び一五号証によれば、原告仁において昭和五一年に金融機関に対し支払った借入金利息が合計四二万六一三四円であることが認められ、右認定に反する証拠はない。

(3) 建物減価償却費

原告仁の昭和五一年の建物減価償却費が一〇万二三七五円であることについては当事者間に争いがない。

(4) 自動車除却費(自動車減失損)

証人山崎勝義の証言により真正に作成されたものと認められる乙一六号証によると、原告仁は、昭和五一年二月に交通事故を起こし、昭和四五年型乗用車一台を破損して廃車とし、同年五月解体したこと、右乗用車は、原告仁において昭和四八年五月に代金六〇万円円で購入したものであることが認められ、右事故による自動車除去損を特別経費として昭和五一年の収入から控除することについては当事者間に争いがないところ、その金額は、被告主張の計算のとおり三四万六〇二〇円と認めるのが相当である。

(5) 特別経費

そこで、特別経費は、右(1)ないし(4)の合計三四八万三一四七円と推計される。

(四) 事業専従者控除額

原告仁の昭和五一年の事業専従者控除額について、同原告仁の弟である小貫隆久を所得税法五七条三項(昭和五〇年法律一三号による改正後のもの)に該当する事業専従者として四〇万〇〇〇〇円を必要経費とすることには当事者間に争いがないが、同原告の父である原告仁義が事業専従者であることについては、それに沿う原告小貫仁義本人尋問の結果が、前記乙二号証によると同原告は昭和五〇年の申告の際には小貫隆久及び原告仁義の二人を事業専従者として申告しておきながら、昭和五一年の申告及びそれについての審査請求の際には小貫隆久のみを事業専従者とし原告仁義を事業専従者としていなかったことが窺われること(このことから、原告仁義が右尋問の結果において、本件訴訟になって初めてその主張をしたのは失念していたためである旨の弁解をしている点は肯ずけない。)に照らし採用できず、他に右主張を裏付ける資料はない。

(五) 事業所得金額

以上により、原告仁の昭和五一年の事業所得は、右(二)の算出所得金額から(三)の特別経費及び(四)の事業専従者控除額を差し引いた六五一万八二二七円であると推計される。

なお、原告仁主張の公租公課、建物以外の減価償却費、燃料費、通信費、光熱費、福利厚生費、交際費、事務費、雑費、外注費を控除すべきでないことについては、原告仁義について述べたとおりである。

また、原告仁主張の車両費及び事故費については、前記自動車減失損として認めた以外のものについては、前記二のとおりそれを裏付けるべき資料に疑義があるのみならず、同原告の事業との関連性ないしどの収入に関するものであるかを認めるに足りる証拠はないから、事故費のみを独立に控除すべきではない。しかも、前記認定したところによれば、算出所得金額算定の際にそれが含められていることが認められるから、更にそれを控除すべき理由はない。

また、原告仁主張の未完成工事原価については、前記推計収入金額の一部として算出所得金額算定の際にそれがふくまれているから、更にそれを控除すべき理由はない。

更に、原告仁主張の貸倒損については、前記二のとおり裏付けるべき資料のない甲一一号証以外にはそれを証する資料はない。

3  原告らは、前記各推計に用いた同業者の抽出基準が原告らの営む事業との類似性を欠き適当でない旨主張する。しかしながら、前記二の(原告仁義の昭和四九年分所得)3記載の乙二八号証によれば、原告らの営む事業は、法人設立前から重軽量鉄骨建築工事・木造住宅建築工事等を標榜していたことが窺われるが、原告小貫仁本人尋問の結果によれば、鉄骨工事以外は外注に出すことが多かったことが認められるから、その事業の中心は鉄骨工事業であるとみられるところ、前記抽出された事業者は、原告らと事業内容・立地条件・事業活動区域・営業規模・従業員数等において類似性を有すると推定される業者を抽出したものであって、それ自体で一応の合理性を保っているのみならず、その結果得られた収入金額は、原告らの主張する収入金額に、本件口頭弁論終結時において当裁判所が認知できる限りの前記計上漏れを窺わせる収入金額だけを加算した金額に近いことに照らしても裏付けられており、その他に、より合理的な抽出基準を見い出し難く、また、原告らの事業所得を推計すべきより合理的な方法も見い出し難いから、原告らの右主張は採用できない。

なお、原告らは国税不服審判所の裁決はその主文及び理由において被告を拘束するものであるから、本件訴訟においても右裁決と異なる理由を主張して本件課税処分の適法性を根拠付けることはできない旨主張する。しかしながら、国税不服審判所の裁決は、原処分について異議が申し立てられた場合に原課税処分の当否を判断してそれを是正するものであって、被課税者が国税不服審判所の裁決に不服のない場合には、それが原処分を拘束して課税処分が確定することになるが、裁決の拘束力はその限りにおいて認められるにすぎない。被課税者が裁決に不服であるとし原課税処分の内で裁決において容れられなかった部分の取消しを求める行政訴訟においては、そもそも被課税者は裁決の主文についてはもとより、そのような裁決をした理由についても争っていることになり、その当否を判断する受訴裁判所がそのような裁決の主文及び理由に拘束されるいわれはないのみならず、受訴裁判所は、総所得金額に対する課税の違法一般を審理の対象とし、裁決により取消されなかった課税処分の課税額が総所得金額に対する課税総額を超えていないか否かを、口頭弁論終結時までに提出された資料に基づいて判断すべきものであるから、総所得金額及びそれに対する課税総額の判断については、被課税者が不服とするところの裁決の効力が及ばないのは当然のことである。したがって、原告らの右主張は理由がない。

四  所得税額

原告仁義の昭和四九年における所得から差し引かれる金額が合計六八万五〇〇〇円であることについては当事者間に争いがないところ、それを前記推計所得金額から控除すると、同原告の昭和四九年の所得税額は二四万一九〇〇円となる。

前記乙二号証によると、原告仁の昭和五一年における所得から差引かれる金額が八八万円であることが認められ、それ以上であることを認めるに足りる資料はないところ、それを前記推計所得金額から控除すると、同原告の昭和五一年の所得税額は一〇二万四七〇〇円となる。

五  加算税額

原告仁義は、前記のとおり、昭和四九年の所得税の申告をしなかったから、無申告加算税は国税通則法六六条一項一号、一一八条三項により、前記推計所得金額に対して納付すべき所得税額二四万一九〇〇円から一〇〇〇円未満を切り捨てた額に一〇〇分の一〇を乗じた二万四一〇〇円となる。

原告仁は、前記のとおり昭和五一年の所得税を過少申告したから、過少申告加算税は同法六五条一項、一一八条三項により、前記推計所得金額に対して納付すべき所得税額一〇二万四七〇〇円から一〇〇〇円未満を切り捨てた額に一〇〇分の五を乗じた五万一二〇〇円となる。

六  本件課税処分の適法性

以上によると、本件各課税処分は、前記四の所得税額及び五の加算税額の範囲内でなされたものであるから、いずれも適法であることになる。

七  むすび

よって、本件各課税処分の取消を求める原告らの本訴各請求は、その余の点を判断するまでもなくいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条一項本分を適用して、主文のとおり判決をする。

(裁判官 草深重明 裁判官 三角比呂 裁判長裁判官野澤明は転補のため署名押印することができない 裁判官 草深重明)

計算書(一)

(昭和49年所得金額の内容)

<省略>

計算書(二)

(昭和51年所得金額の内容)

<省略>

収入金額一覧表(一)

(昭和49年収入金額の内訳)

<省略>

収入金額一覧表(二)

(昭和51年収入金額の内訳)

<省略>

<省略>

仕入金額内訳表(1)

<省略>

仕入金額内訳表(2)

<省略>

昭和49年分 差益率計算表

(1) 基礎係数及び標準偏差の計算

<省略>

(2) 限界値の計算

<省略>

(3) 平均値の計算

<省略>

昭和51年分 差益率計算表

(1) 基礎係数及び標準偏差の計算

<省略>

(2) 限界値の計算

<省略>

(3) 平均値の計算

<省略>

昭和49年分 算出所得率計算表

(1) 基礎係数及び標準偏差の計算

<省略>

(2) 限界値の計算

<省略>

(3) 平均値の計算

<省略>

昭和51年分 算出所得率計算表

(1) 基礎係数及び標準偏差の計算

<省略>

(2) 限界値の計算

<省略>

(3) 平均値の計算

<省略>

昭和49年分給料賃金の平均値を求める計算表

<省略>

昭和51年分給料賃金の平均値を求める計算表

<省略>

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